
ベンチャー企業へ転職した時のこと。
これまでは派遣社員や契約社員として勤めていたのですが、もともと仕事が好きだった私は、キャリアアップを視野に入れたいと思い、転職活動を始めました。
ようやく正社員として雇ってくれる会社に出会い、会社の役に立つよう精一杯仕事を頑張ろうと新たな門出に心躍らせていました。
配属部署は営業サポートがメインの部署で、私は1つのチームのリーダーを担うポジション。
早く業務を覚え、一人前になれるよう毎日必死に働きました。
業界柄残業も多く、23時半に退社、終電で帰宅という毎日が続き、ちょっと辛いなとも思っていたのですが、それでも職場のメンバーには恵まれているし、会社からも期待されていると思っており、充実した毎日だと思っていました。
しかし、入社して半年。
仕事にも慣れてきたとき、自身の体調に変化を感じ始めました。
けれど、これはただの自分の弱さと甘えかもしれない、もっと辛い気持ちで働いている人はきっと沢山いると思い込み、そのまま仕事を続けるも、おかしいな?と感じていた体調は日々悪化。
更に半年経った頃にはメンタルがおかしくなっていて、メンタルヘルスに受診へ行くと、抑うつ・適応障害と診断をされ、休職せずにはいられない状態へとなってしまいました。
春香のこの職場、実はマニュアルがほとんど存在せず教育体制が全く整っていない環境だったのです。

これからまた新入社員を迎えるのならば、マニュアルは整備させておいたほうが良いのでは・・・?
と、提案をすると、入社して間もない春香が業務のマニュアル作成進行を任されてしまったのです。
慣れない環境下での通常業務に加え、マニュアル作成、チームメンバーが引き起こしたミスへの対応、案件をマルチにこなさなければならない責任感、MTGが1日5件もあるのは当たり前、相次ぐトラブル・・・。
もともと真面目で頑張り屋だったはるかは、会社の期待に応えたい一心で努力を続けるも、最終的には体調を崩し身も心もボロボロになってしまいます。(実は筆者も適応障害による休職経験者です。)
抑うつとは、気分が落ち込み、活動を嫌っている状況であり、そのため思考、行動、感情、幸福感に影響が出ている状況のこと。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
適応障害とは、はっきりと確認できるストレス因子により、著しい苦痛や機能の障害が生じており、そのストレス因子が除去されれば症状が消失する特徴を持つ精神障害である。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

貴方は大丈夫?もう頑張らない方がいいときのサイン
寝付けない、朝起きられない
これまで睡眠に対して不満を感じていたことはなったのに、突然入眠がうまくいかなくなり、ベッドに入っても2~3時間寝付けない状態が続いたり、酷いときには朝方、明るくなっても上手に眠りにつくことが出来ません。
そして、寝付きが悪い分、朝も起きることが困難になります。仕事や用事があり起きなければいけないのに、ベッドから立ち上がることが出来ず、睡眠時間も足りていない為、朝を迎えることが辛いと感じます。
睡眠は生活の基盤です。睡眠バランスが崩れると、メンタルは余計崩しやすく、正常に保つことが難しくなります。
「甘えている」「怠けている」と思われることが怖く、なかなか周囲にも相談することが出来ません。
今まで好きだったこと、趣味への関心がなくなる
趣味まではいかなくとも、誰しも何かしら好きなことってあると思うんです。
仕事が休みの週末には、お気に入りのお洋服を着て友人と遊びに出かけたり、録画をしていたドラマを見たり、スーパーで安い食材を見つけ手料理を作ったり・・・
しかし、これまで大好きだったことに時間を費やすことがだんだんと億劫になっていきます。
残業が多く、晩御飯を手作りすることが難しくなり、出前やお惣菜が並ぶ食卓。しかし食欲はなく、休みの日はベッドから出られずに1日を寝て過ごしてしまうことが多くなり、友人からの誘いも断るように。毎週好きで見ていたドラマも続きなんてどうでもよくなり見なくなってしまうのです。
このような症状が悪化していくと、関心がなくなるどころか、今まで好きだったことが辛いとまで感じるようになってきます。
突然、涙が出る
ふとした時に、突然涙が出る。感情をコントロール出来なくなっているサインです。
眠りにつこうとしているとき急に涙が出る。音楽を聴いている時涙が出る。人と会話をしている時、何を言われたわけでもないのに涙が出る。仕事のことを考えてしまうと何故か涙が止まらない。
こんな状態が日常的になってしまいます。
女性の場合「月経前症候群(PMS)」(以下引用参照)という状態で似たような症状が出る場合もありますが、そうでない場合に突然涙が出るということは本来異常な状態です。
「なんで自分は、こんなに涙もろくてメンタルが弱いのだろう」と否定をせず、辛い気持ちに蓋をしないで、ココロもカラダも無理をしているということを自覚することが大切です。
月経前症候群(PMS)とは、数か月にわたって月経の周期に伴って、黄体期である月経の3日から10日位前からおこり、月経開始とともに消失する、一連の身体的、および精神的症状を示す症候群。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
頭がぼーっとし、ミスが増える
何か考え事をしていた訳でもないのに、頭がぼーっとすることが増えます。集中力が続かず、仕事に身が入らなくなり、作業効率の悪さが目立つようになります。
このような状況下では、マルチタスクの多い仕事をこなすことはおろか、単純作業ですらケアレスミスを発してしまうことも増えるのです。
また、思考力の低下から他人からの質問にすぐに返事をすることが出来なかったり、場合によっては、聞いていなかったという状態にすら陥ってしまうので、周囲から心配されることも多くなります。
悪いことばかり考えてしまう「ネガティブ・スパイラル」
人間誰しも、ネガティブ思考に陥る経験はあります。しかし本来、そのネガティブ思考はずっとは続かないもの。
けれど、このネガティブ思考から脱することが出来なくなることを「ネガティブ・スパイラル」と言います。
とある案件でのミスが発覚し、対処した後でも「本当に対処出来ているのだろうか?」「また同じミスが起きるかもしれない」「あっちの案件でもミスが起きてるんじゃないか・・・」など確かな根拠がないにも関わらず、不安ばかりが募っていき、メンタルが安定しません。
この状態のときは、誰と話しても何を考えても全て悪いほうへ考えてしまい酷く落ち込みます。
辛いと感じている自分を受け入れる勇気を持つ
自分にも同じ症状がある・・・と感じるのであれば、心も身体も悲鳴をあげているサイン。自分のことを一番に理解してあげられるのは自分しかいません。辛いと感じている自分を受け入れ、まずはゆっくりと休息をする時間をとってください。
「メンタルクリニックへ受診にいくこと」や「職場に休職届を出すこと」は、とても勇気がいることですよね。しかし、人は身体が資本です。悲鳴をあげているサインに蓋をし、頑張り続けてしまうと、いずれ心も身体も崩壊し、取り返しのつかない状態まで陥ってしまう可能性があります。
「もう少し頑張れる」から「もう頑張らないで」へと、考え方を変えることで暗い日常からもう一度、光を見つけることが出来るのです。
休職をした後の生活が不安で踏み出せない

休職をすることで、金銭面の不安もありましたが「傷病手当金」という制度があり、一定の収入は確保することができたので、安心して休むことが出来ました。
しかし、休職をすることで、その後の生活が不安になるという意見もあります。
・どのくらいの休みが必要になるのか?
・休職後、元いた会社にちゃんと戻れるか?
・戻った場合会社の人たちとは気まずくならないか?
・きちんとまた働くことができるか?
・休職後、もしそのまま退職になった場合、また転職活動をすることが不安
先行きの不安が先行してしまい、休職という判断をなかなかとることのできない場合があります。
しかし、抑うつ状態になっていると、正しい判断をすることは出来ません。まずは十分な休息をとり、体調が整ったあとに、休職後はどうするべきかについて考えれば良いのです。
このまま無理をして仕事を続けていれば症状はどんどん悪化し、取り返しのつかない事態にも繋がりかねません。
・どのくらいの休みが必要になるのか?
→主治医や産業医の判断による。一般的な休職期間は会社により異なるが、3か月~最長3年が一般的。その間、傷病手当金を申請し受給することで費用面の不安は大幅に解消されます。
・休職後、元いた会社にちゃんと戻れるか?
→主治医や産業医からのOKが出れば復職可能。
・戻った場合会社の人たちとは気まずくならないか?
→気まずくなるような職場環境なら退職した方がいい。
・きちんとまた働くことができるのか?
→少なくとも抑うつ状態のまま働くことより健全に働ける可能性は高い。
・休職後、もしそのまま退職になった場合、転職活動が不利になるのでは?
→会社を休職したという事実は、自己申告しない限り分からないので、あえて転職活動時に言う必要や義務はない。
【女性しごと応援テラス・東京しごとセンター】
頑張ることだけが正解じゃない、十分に休息することも大切

休職をし、十分な休息をとりながら自分自身を見つめ直し、私には会社の風潮があっていなかったことや適職ではなかったんだなと考え、その後退職をすることを決めました。
せっかく正社員で入ったのに・・・という気持ちも勿論ありましたが、毎日辛い思いをして自分らしく働けず、ましてやメンタルまでおかしくしてしまうなんて、元も子もないなと思えるようになったんです。
今は、自分のタイミングで働ける在宅の仕事をしながら、合間に家事もこなし、毎日をゆったりと過ごしています。
大好きだった料理もまた出来るようになり、夫との間に笑顔も増えました。
自分はメンタルは強い方だと思っていたのに、まさかそんな自分がメンタルを壊し抑うつになるなんて思いもしませんでした。辛いことも多かったけれど、この経験を通して、働き方への考え方や抑うつに関する意識が変わりました。
もし、仕事が辛いと泣いている人がいたらしっかりとその人に向き合って「もう頑張らなくてもいいんじゃない?」と伝えてあげたいです。
実は筆者は、自分がメンタルを壊し休職をする経験をしてから、抑うつや適応障害など心の病気の理解度が上がりました。
それまでは正直、「心の病気になる人は、メンタルが弱くて恥ずかしいこと」と思っていたのです。今思えば、そう考えていた過去の自分を叱ってやりたいです。
心の病気はどんな人でもなりえる可能性があります。もちろんそれは、「自分はメンタルが強いから絶対にならない」と思っていても、ある日突然、環境や状況、気持ちの変化などが要因でなったりします。
自分のことを一番大切に考えてあげられるのは自分です。
頑張り方を間違えず、頑張ることをストップする勇気を持つことで見える世界もあるということを知ってもらえると筆者は嬉しいです。



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